ソフトウェア故障診断ドメインシェル
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概要
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計算機システムの故障原因をメモリダンプ(MD)を用いて解析するには,オペレーティングシステムの構造や動作等に関する高度な専門知識が必要である.この知識を知識ベースに蓄えたエキスパートシステム(ES)が開発されているが,(1)解析中に人間の介在が必要なために,大規模なMD解析には利用できない,(2)専門家が知識を投入・維持管理できない等の問題があった.これらの問題を解決するために,ソフトウェア故障診断ドメインシェルFINDS(Fault Isolation Domain Shell)を実現した.ソフトウェアの故障解析の知識が制御表の構造知識,制御表の見方,制御表間の関係の3種類の知識に分割できることに着目し,知識獲得の容易なソフトウゥア故障診断用のドメインモデルを考案した.FINDSは(1)本モデルに基づいた知識獲得機能(知識エディタ),(2)解析実行機能,(3)説明機能で構成されている.主な技術的特徴は(1)知識を解析の専門家に適した外部表現(表とフローチャートの形式)と推論エンジンが扱う内部表現(フレームとルール)の2形式で表現し,外部表現形式の知識エディタにより解析の専門家自らが知識を投入し維持管理できること,(2)既存のMDアクセスプログラムを利用して推論に必要な情報を自動収集することにより故障解析を自動化したこと,(3)外部表現形式での推論過程の説明を解析知識から自動作成すること,(4)柔軟な構造により各種アーキテクチャへの適用を可能としたことである.MDアクセスプログラムインタフェースをいくつかのアーキテクチャ向けに作成し,MDによる故障診断ESを構築した.本ESを実際に運用した結果,大規模なMDの故障解析に適用できることが検証できた.具体的には,(1)解析の専門家が知識処理の専門家の助けを借りることなく知識を容易に作成することが可能であること,(2)故障解析時間が従来の約2/3に削減されること,(3)知識投入の生産性は従来のプログラム言語を利用する場合と比べ約10倍になることがわかった.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1993-09-15
著者
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河岡 司
同志社大学工学部知識工学科
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河岡 司
日本電信電話公社横須賀電気通信研究所
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飯田 敏幸
日本電信電話(株)情報通信網研究所
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島田 茂夫
日本電信電話(株)情報通信網研究所
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飯田 敏幸
Ntt コミュニケーション科研
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