遠隔の共同作業における映像通信, 共有電子黒板の効果(<特集>分散協調支援とその応用)
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概要
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近年, テレビ電話, 共有電子黒板などの機能を備えたデスクトップ会議システムが多数開発されている.しかし, 従来の電話と比べてメリットが不明確であり、一般に普及していないのが現状である.このような新しいメディアを有効に利用していくためには, メディアによる共同作業への効果を評価し, それをもとに有効な利用方法や新しい設計原則を明確化していくことが重要である.本論文では, 映像通信, および, 共有電子黒板の共同問題解決作業への効果を, ユーザ実験により評価し, 実験結果に基づき有効な利用方法を提案する.実験では, 40組のペアの被験者を, 1)音声のみ, 2)音声と映像, 3)音声と共有電子黒板, 4)音声, 映像と共有電子黒板の4つの通信環境にランダムに割り当て, 制限時間内に共同してパズルの解答を2人のチームでまとめる作業を行った.各環境下での共同作業結果だけでなく, グループの結論に対する被験者間の自身の相関を評価することで, 議論の徹底さの度合いを評価した.その結果, 映像通信は, 制限時間内にグループの結論を出す傾向や, 被験者間のグループの解答に対する自信のずれが大きいことが確認された.一方, 共有電子黒板は, 互いが同じ程度の自信を有するまで徹底した議論を行い, 回答時間が長引く傾向にあり, 映像通信とは逆の効果があることが確認された.このことから, 映像と共有電子黒板を同時に使うより, 会議のフェーズに応じて使い分けることが有効であることが示唆できる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-10-15
著者
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