結合価構造に基づく日本語二重主格形容詞構文の解析
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概要
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本論文では, 結合価構造に基づく二重主格形容詞構文の解析手法について述べる.多くの言語において単文は1つの主格を有する.これに対して, 日本語述語は単文中において2つの表層的な主格を有することができる.このような単文のことを本論文では二重主格構文と呼び, 特に述語が形容詞または形容動詞のものを二重主格形容詞構文と呼ぶ.本構文では, 二重主格形容詞構文中の副助詞「ハ」の機能に着目して, 日本語二重主格形容詞構文を, 副助詞「ハ」が連体型の格助詞を代行するタイプ1, 副助詞「ハ」が連用型の格助詞を代行するタイプ2, 格助詞「ガ」が対象格を表し, 副助詞「ハ」が格助詞「ガ」を代行するタイプ3, 副助詞「ハ」を持つ修飾語句が時間を表し, 副詞句的に働くタイプ4, の4タイプに分類する.次に, 解析対象の二重主格形容詞構文がどのタイプに属するかを, 述語の持つ結合価構造に基づいて判定し, 判定結果に応じた適切な解析を行う手法を提案する.特に, タイプ2の解析手法については従来, 工学的に述べられたことはほとんどなかった.これに対して本論文では, タイプ2の二重主格形容詞構文を解析するために, 仮想的な結合価要素を導入することを提案する.そして, この仮想的な結合価要素に副助詞「ハ」を持つ修飾語句を対応付けることによって, タイプ2の二重主格形容詞構文に対する正しい結合価構造が得られることを示す.さらに, 本手法の有効性を確認するために行った評価実験について述べる.新聞記事約1カ月分を対象に行った評価実験の結果, 解析の対象とした二重主格形容詞構文の約94%を本手法によって正しく解析できることが分かった.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-11-15
著者
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