(41)京白梨及びシリアナシから分離された黒星病菌の性状比較

概要

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チュウゴクナシ品種'京白梨'から分離された中国産の黒星病菌は,病斑上の分生子の形態から,ナシ黒星病菌Venturia nashicolaに属した.しかし,日本国内産のV.nashicola菌株とはエステラーゼやパーオキシダーゼのアイソザイムパターンが異なるほかレースも異なり,ニホンナシ品種'幸水'あるいはアジアナシの1系統'マメナシ12'に病原性を示さなかった(レース4).一方,イスラエル,ゴラン高原に自生するシリアナシPyrus syriacaから分離された菌株は,セイヨウナシ黒星病菌V.pirinaのレース5とされ(Shabi et al.,1973),今回の試験でもセイヨウナシから分離された菌株との人工交雑で,培地上に子のう胞子を形戒した.しかし,シリアナシの葉に自然発病で形成された菌の分生子はV.pirinaではなくV.nashicolaと同じ形状を示すなど,2つの菌種の中間的な性質を示した.そこで,'京白梨'またはシリアナシから分離された菌株のITS rDNAをPCRで増幅し,クローニングの後,塩基配列を調べたところ,V.nashicolaとV.pirinaのいずれの配列とも異なる部位が数カ所見いだされた.
日本植物病理学会の論文
2003-02-25