白亜紀海洋無酸素事変と炭酸塩プラットフォームの"溺死"(<特集>白亜紀海洋無酸素事変の解明)
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概要
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白亜紀の温室地球では, 広大な炭酸塩プラットフォームが発達した一方, 炭酸塩プラットフォームの氾世界的な溺死が9回も起こった.また, 白亜紀の厚歯二枚貝, 底生有孔虫, 石灰藻などの造礁生物相の変遷をみると, 3回(バランギニアン中頃, アプチアン中頃, C/T境界)の大規模な交替が認められ, これらはプラットフォームの氾世界的な溺死時期と一致する.炭酸塩プラットフォーム直上の遠洋性堆積物の時代決定や炭素同位体層序の適用などによって, 上記の3回のプラットフォームの氾世界的な溺死時期は, バランギニアン炭素同位体イベント, OAE1a, OAE2とほぼ一致することが明らかとなり, 両者間に何らかの因果関係が想定される.しかし, OAE1aの時期には, プラットフォーム堆積物中にOAEに対比される層準が認められるにもかかわらず, プラットフォームは溺死せずに, 継続して発達した事例もあり, 必ずしも全てのプラットフォームが溺死したわけではない.今後, 多様な層位学的データを統合し, 炭酸塩プラットフォームと深海の両者の堆積物に記録された事変を対比することによって, OAEsが造礁生物相の交替や炭酸塩プラットフォームの溺死とどのように関連するかが解明されるものと期待される.
- 日本古生物学会の論文
- 2003-09-20
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