ローラーポンプの圧閉度の電気的測定

概要

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〔目的〕ローラーポンプにおいては適正な圧閉度が重要となる.われわれは圧閉度を電気的に測定する方法を考案し,実験回路を用いて検討した.〔方法〕生理食塩水で満たしたポンプチューブの流入側と流出側に電極を設け,両極間の電気抵抗を測定できる実験回路を作成した.さらにこの回路にJIS規格の圧閉度の測定が行えるように1mの高さから輸血セットを取り付け,滴下によって圧閉度を測定できるようにした.この実験回路で圧閉度を変化させた時の電気抵抗変化を測定した.〔結果〕完全圧閉の状態では抵抗値は絶縁を示す値であった.徐々に圧閉度を弱め滴下が始まると電気抵抗は低下し始め,適正圧閉度(5〜10滴下/分)においては37〜49kΩであった.さらに圧閉度を弱めてゆくと抵抗値も下がり完全な開放で4.5kΩとなった.圧閉度と抵抗値の回帰はy=-0.0075x2+2.0322x+17.367で,相関はR2=0.9864であった.〔考察〕充填薬液で満たされたポンプチュープの前後に電位差がある場合には,薬液が電気伝導体となる.この時,チューブに狭窄部があれば,狭窄部が電気的な抵抗となる.圧閉度とは,ポンプのローラーにより押し潰されたポンプチューブの狭窄部の大きさであるのだから,圧閉度が電気抵抗を変化させることになる.今回の実験により,圧閉度と電気抵抗の関係はほぼ直線的な比例関係があることが示され,電気的測定が極めて高い信頼性があることがわかった.ただし,充填薬液の電気伝導度・電極の大きさ・チューブ径なども電気抵抗を決定する要素となる.これらの要素が決まっていて,温度プローブの接続部などを電極として,適正圧閉時の電気抵抗を知っておけば,以後適正な圧閉度を容易に調整できる.例えば今回の実験回路において適正な圧閉度を得るためには,電気抵抗が40〜50kΩとなるように圧閉度を調節すれば良いことになる.また,圧閉度を能動的に調節できる装置と組み合わせれば,自動的に適正な圧閉度を取るローラーポンプも開発でき得る.〔結論〕圧閉度を電気的に測定する実験の結果,電気抵抗により適正な圧閉度を測定できることが明らかになった.これにより圧閉度の容易な測定や圧閉度の自動設定の可能性が見出せた.
日本医療機器学会の論文
2003-04-01

ローラーポンプの圧閉度の電気的測定

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