グラスファイバー法を用いた好塩基球ヒスタミン遊離試験の食物アレルギー診断における臨床評価 : 血清特異的IgE抗体, 皮膚試験との比較検討

概要

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病歴から食物アレルギーが疑われた小児50例を対象に, 少量の全血で測定可能なグラスファイバー法を用いた好塩基球ヒスタミン遊離試験(HRT)を行い, その有用性を血清特異的IgE抗体測定(RAST), 皮膚試験(ST)との比較において検討した. 対象50例のうち, 39例に延べ60件の食物アレルゲン(鶏卵37例, 牛乳11例, 大豆4例, 小麦5例, 米3例)が確定できた. その臨床診断とHRTの一致度は85.3%, 感度は66.7%, 特異度は92.1%であり, RASTでは70.5%, 90.0%, 63.4%, STでは84.7%, 71.8%, 88.7%であった. 陽性適中率はHRT75.5%, RAST47.4%, ST66.7%で, 偽陽性度はHRT(24.5%)が最も低かった. アレルゲン別の陽性適中率でも, HRTは最も高い成績であった. HRTクラスとRASTクラスは有意の相関(r=0.513, p<0.001)が認められたが, HRTのRASTとの一致度は56.0%であった. HRTとSTの一致度は80.5%であった. HRTと臨床診断の一致度と特異度は, RASTよりは高く, STと同程度であり, RASTの感度はHRTに比較して高値であった. 以上の結果から, RASTは原因抗原のスクリーニングに, HRTは確定診断に有用と考えられた.
日本アレルギー学会の論文
1994-05-30