X 線的應力測定法に依る測定値の吟味

概要

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金属材料より成る機械部分に應力が存在する時、その部分を破壊する事なしにその表面の應力を測定するため、X線的應力測定法が考へられて来た。この方法は金属の結晶性構造なる事を利用して、その格子常数が應力に依り変化する事より、逆に格子常数をX線的に測定して應力を求めんとする方法である。この方法として最初、測定せんとする品物表面上の一点に於て、表面に平行な原子平面間の距離をX線的に測定する事に依り、表面應力の和を求める方法が考へられたが、先般R. Glocker氏は二つの方向の原子平面間の距離を測定する事より、任意の方向の表面應力を測定する方法を提案した。本実驗に於ては、この提案に従ひ純鉄の試驗片に対して引張及び曲げ試驗を行ひ、その時試驗片に與へた應力値と、X線的に測定した應力値との間の関係を探求し、更に進んでX線的應力測定機構を明確ならしめる端緒を見出す事を以て研究目的とした。尚従来の表面應力の和を求める方法に依りても應力値を計算して、R. Glocker氏の提案に依る方法と比較した。
社団法人日本機械学会の論文
1940-08-25