動力用ベルトの耐久試驗

概要

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著者は曩にベルト傳動に関する理論並に実驗結果を報告したが、その結論に於て傳達馬力が與へられたときベルトの寸法を決定するに當つてその許容應力値を知る必要あることを指摘しておいた。然しながら許容應力の値はベルトの材質は勿論、調車径、運轉状態或は接合せ方等の如何に依て変化する故正確な値を求めるには実際耐久試驗を行つて実驗的に測定するのを便とする。この見地から本実驗に於ては、試料として小巾の革及びゴム両ベルトを用ひて種々の接合せ方及び傳動状態に対する耐久力を求め、併せて耐久力と静的強度との関係或は破壞状態等に就て考察した。耐久試驗はこれを二部に大別して研究を進めた。(1)無負荷運轉、(2)負荷運轉。無負荷運轉とはベルトが外部に少しの動力をも傳達せず、従てその張り側と弛み側とにおける張力が相等しい場合で傳達力がP=T_2-T_1=0なる時であり、負荷運轉とは外部へ動力を傳達せる場合で、従て張り側と弛み側とには常に張力差が存在する。即ちP=T_2-T_1>0なる時である。茲にT_2は張り側の張力、T_1は弛み側の張力を示す。本論文に於ては無負荷状態における耐久試驗結果を記述する。
一般社団法人日本機械学会の論文