平等について : 普遍的指図主義の立場から
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概要
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現代イギリスのような社会では〈平等〉ということはきわめて一般的な支持をうけていて、実践倫理の領分では当然の前提になっているように思われる。しかしながら、いったい〈平等〉とは何かを問うならば,容易には答えられないいくつかの難問に出会うことになるだろう。主な問題としては,次のようなものが考えられる。1)どのような根拠にもとづいて人間は平等であるのか,あるいはむしろ平等であるべきなのか。2)平等は権利であろうか。権利としての平等が他の権利と衝突した場合にはどのような解決策があるだろうか。3)人間はどのような意味で平等であるべきであり,どのような意味で不平等が認められるべきであろうか。本稿は主として以上のような問いに対して,R.M.ヘアの主唱する普遍的指図(さしず)主義の立場から原理上どのように答えられているかをみようとするものである。ヘアの指図主義が現代でもっとも有力な倫理学説であるとともに上の問いに対して首尾一貫した答えを出していると考えるからである。上の問いに対する答えを通して、ヘアの指図主義の性格を明らかにしょうというのが本稿のもう一つの狙いである。In this essay we try to answer such questions as follows: (1) What is the basis for human beings to be treated equal? (2) If equality is a right, how can we resolve the moral conflict when the equal right is inconsistent with another right? (3) In what respects is humans to be treated equal or inequal? In answering these questions from the universal prescriptivism of R.M.Hare, we can, it is hoped, make clear the character of the universal prescriptivism itself at the same time, using as examples those of racism, economic distribution and equality in education.
- 大阪教育大学の論文
- 1984-01-31
著者
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