卵巣癌の治療におけるSubrenal capsule assay法の臨床応用
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概要
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患者個々の腫瘍の抗癌剤感受性試験をSubrenal capsule assay法(以下SRC法と略す)を用いて行い臨床に応用し, この結果を卵巣癌のcis-platin (CDDP)を主とする化学療法の成績と比較した. 1984年8月から1988年8月までの4年間に当院で卵巣癌と診断しSRC法を施行した患者18人と患者から得られた病変22 assaysを検討した. SRC法の方法および判定はBogden et al. の方法に準じて行った. 臨床効果は測定可能病変があるものは日本癌治療学会化学療法直接効果判定基準に基づき判定し, 測定可能病変のないものは化学療法施行後に行った開腹術の組織学的な悪性所見の有無で判定した. SRC法の評価可能症例は22 assays中21 assays (95%)で, 平均をとるとetoposide (VP-16), cyclophosphamide, CDDP, adriamycinの投与群の順で移植腫瘍はコントロール群に比べ縮小する傾向を示した. また各薬剤とも前治療歴のある群とない群の間の腫瘍の縮小の程度に有意差はなかった. 4人はSRC法を2回施行しているがいずれも感受性のある薬剤に変化はなかった. SRC法の結果を臨床応用した患者は16人(19 assays, 20症例)で感受性予言率は50%, 抵抗性予言率は75%であった. その中の8人が初回治療に, 4人が再発時にVP-16を投与され, 治療反応率はそれぞれ50%であった. これらの生存率はわれわれの施設のCDDPを基にした化学療法群に比べ上昇傾向を示した. 卵巣癌に対するSRC法を基にした化学療法は生存率の上昇を認め, 有用であると思われた. また卵巣癌に対するVP-16投与の有効性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-12-01
著者
-
嶋本 富博
県立宮崎病院
-
重松 敏之
九州大
-
自見 昭司
国立九州がんセンター
-
嶋本 富博
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
岡留 雅夫
国立病院九州がんセンター
-
自見 昭司
国立病院九州がんセンター婦人科
-
倉野 彰比古
九州がんセンター
-
倉野 彰比古
国立病院九州がんセンター婦人科人科
-
渡辺 幸生
国立病院九州がんセンター
-
前田 聖子
国立病院九州がんセンター婦人科
-
牛嶋 春生
国立病院九州がんセンター婦人科
-
嶋本 富博
国立病院九州がんセンター婦人科
-
重松 敏之
国立病院九州がんセンター婦人科
-
真柴 温一
国立病院九州がんセンター免疫部
-
前田 聖子
九州がんセンター
-
牛嶋 春生
福岡大
-
渡辺 幸生
国立病院九州がんセ
-
渡辺 幸生
国立福岡南病院
-
真柴 温一
国立病院九州がんセンター 免疫
-
真柴 温一
九州がんセンター免疫研究部門
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