超音波計測による胎児発育診断
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
超音波検査を中心として, すべての胎児を妊娠初期から分娩に至るまで, 経時的に監視する流れをシステム化し, この流れに従つて, 下記の如く, 実時間超音波断層法による胎児の発育診断を行つた.1)妊娠初期においては, 羊水腔径や胎児坐高長の計測を打つだ.BBT起算による妊娠日数と羊水腔径との相関係数は0.914であり, 胎児坐高長との相関係数は0.990であつた.また, 妊娠日数の推定の誤差範囲は, それぞれ, ±5日, ±3日であり, 胎児の直接的計測値である坐高長の方が, 間接的計測値である羊水陸径より優れた胎児発育診断のパラメータであることが知られた.2)BBT起算による坐高長発育曲線を利用して, 最終月経起算による坐高長値をブロつトすると, 妊娠日数の推定が1週間以上ずれる症例が7.1%みられた.3)妊娠中期以降は児頭大横径や胎児腹囲の計測を行つたが, これら単独計測では, 正常月経周期を有し, 最終月経が明確な妊娠においても, 正常胎児発育群から, 発育異常群を明確に除外診断しがたく, 児頭大横径によるSFDの正診率は54.3%であり, 胎児腹囲による場合は63.7%であつた.しかし, 胎児腹囲によるLFDの正診率は81.3%であつた.4)児頭大横径と胎児腹囲を同時測定後, 1週間以内に出生した73例の未熟児分娩の判別式は, Z=0.6012X+3, 100Y-45.204となり, 正診率は, 90.4%, 偽陽性率は38.5%, 偽陰性率は3.6%であつた.10例のIUGRのうち9例が出生前に診断された.5)児頭大横径, 胎児腹囲, 超音波検査時点での妊娠日数と子宮底長の4項目による多変量解析から胎児体重推定値を求め出生体重との相関を求めるとR=0.852で, 1S.D.=±281gであつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
著者
関連論文
- 201. 超音波断層法を用いた胎児大腿骨骨端核観察による胎児成熟評価 : 第34群 ME II (200〜205)
- 229.胎児発育の超音波計測と時間軸評価による胎児適応破綻の予測に関する研究 : 第46群 ME I(228〜233)
- 胎児安全分娩のシステム科学的研究 (胎児安全限界判定へのアプローチ : 分娩周辺期を中心として)
- 大阪大学産婦人科における過去5年間の広義周産期死亡の実態
- 238. 胎児大血管血流速度分布の実時間測定と胎児呼吸様運動の循環動態に及ぼす影響 : 第50群 MEIV
- 83.分娩動態の数理解析による分娩制御機構の解析とその臨床応用 : 第16群 ME I
- 周産期事象,ことに妊娠中毒症徴候と妊娠分娩の予後に関する多変量解析
- 胎児仮死の病型分類とその臨床的意義に関する研究
- 超音波断層法による切迫流産所見の多変量解析
- 230. 周産期異常ことに妊娠中毒症要因と妊娠, 分娩の予後に関する重相関分析
- 218. 超音波パルス法による胎芽生存の確診と切迫流産の類症鑑別
- 超音波断層法による前置胎盤の早期診断とその予後に関する研究
- 周産期におけるHigh-Riskスクリーニング指数(PASS)の開発とその採点評価に関する研究
- 167 新生児異常からみた超音波胎児計測による双胎児発育曲線の評価
- 67 頭部Computed Tomography (CT)と, 児の長期追跡調査から見た経腟的骨盤位分娩trialの検討
- 301 新生児頭部CT(Computed Tomography)所見と, 児の長期追跡から見た吸引および鉗子娩出術の評価
- 66. 経時的超音波計測による双胎児発育曲線作成の試み
- 493. Computed Tomography (CT) から見た吸引および鉗子娩出術による児頭蓋内出血の発症頻度と, 児の発達過程における追跡調査
- 226 音楽の新生児に対する鎮静効果について
- 258. 音刺激の新生児に対する鎮静効果について : 第45群 胎児・新生児 IV
- 9. 重症型妊娠中毒症妊娠に対するMgSO_4(マグネゾール)の単独大量静脈内持続投与治療と母児双方の長期追跡調査 : 第2群 妊娠・分娩・産褥 II
- 232.経時的超音波計測による多胎児の発育診断の評価 : 第39群 ME II (228〜233)
- 166. 周産期医療情報システムの開発とPerinatal Abnormality Screening System (PASS)
- 323.胎児発育監視システムによる超音波診断を中心とした発育異常の早期診断 : 第85群胎児・発育測定
- (その3) 周産期児の異常 97. Tay-Sachs 病の胎内診断の1例 ( 羊水・胎盤・周産期児・婦人科一般群)
- 140. 胎児の呼吸循環動態の解析とその速変性および遅発性徐脈の発来機序に関する研究 (第9群 胎児・新生児 (118〜141))
- 超音波計測による胎児発育診断