子宮癌検診に関する意識調査と和歌山市におけるその実態

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和歌山県における子宮頚部癌, とくにIII〜IV期癌の発見率は著しく高いといわれているが, これは, 一つには子宮癌検診の普及が遅れていることに起因しているものと考えられる.そこで, 我々はその実態を掴むために, 和歌山市北西地域に在住する婦人3, 261名を対象に, 子宮癌検診に対する関心度や受診の有無についての調査を行い, 以下の結果を得た.1.子宮癌検診の受診率は1年以内6.3%, 2年以内は9.0%であり, 既往受診率は22.9%である.2.年代別にみた有効受診率(2年以内)は50歳台14.7%, 40歳台11.3%, 30歳台10.1%で, 60歳以上は2.9%と急減する.3.未受診者の受診の意志は約49%が有しており, 30歳台から50歳台にかけては60%前後であるが, 60歳以上ではわずかに2.8%である.4.未受診の理由としては多忙型34.1%, 養恥型23.1%, 恐怖型13.9%, 過信型15.5%, 高齢型2.3%などがあり, 年代別にみると, 60歳以前の若年者とそれ以後の高齢者では主たる理由が明らかに異なつた.和歌山労災病院における昭和53年から55年にかけての自主検診成績は4, 258名中上皮内癌, 初期浸潤癌(Ia期癌)0.73%, Ib〜III期癌0.28%, III〜IV期癌0.19%であつた.特にIII〜IV期癌は60歳以上の高齢者に57.9%と高率にみられた.以上, 和歌山市において検診の受診率を早急に高めることが必要であり, ために行政検診が強く遂行されなければならないのは当然のことであるが, 意識調査にみられた受診しない理由の種々の要因を取り除くべく, 各年代層に応じた個々人の意識開発のための積極的な啓蒙の必要性が痛感させられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-12-01

子宮癌検診に関する意識調査と和歌山市におけるその実態

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