成熟卵胞顆粒膜細胞とestradiolの取り込みについて
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概要
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卵胞の発育,排卵過程において卵巣で生成されるestrogenが,直接卵胞自身に作用することが最近再び注目され,その報告も散見される.筆者らもこれに関連する研究を行つてきているが,今回幼若ラットに排卵誘発を行う過程で,卵胞顆粒膜細胞や卵において外因性のestradiol (E_2)が如何に取り込まれるかを形態的に検討した. 25〜30日令のWister-Imamichi系幼若ラットにFSH (PMS)投与前,FSH投与後48時間までの卵胞肥大化の著しい時期,さらにLH (HCG)を投与して6時間目の排卵を前にした内莢膜血管拡張期にそれぞれ^3H-E_2を尾静脈に投与し,経時的に卵巣への取り込み量を計測するとともに卵胞のautoradiographを作成して,^3H-E_2の分布を光顕,電顕により観察した. その結果,(1) ^3H-E_2の卵巣組織への取り込み量は,FSH投与後48時間まではほとんど変化はないが,LHを投与すると6時間後には急激な取り込みの上昇がみられた.しかし,排卵期のLH投与後12, 24時間目では取り込みは再び減少した. (2) FSH投与前と投与後24時間,および48時間目では,投与した^3H-E_2の卵胞分布をautoradiographで観察したが,それぞれの時期で60分,120分を経ても顆粒膜細胞内や卵への取り込みはみられなかつた. (3) これに反し,FSHにつづくLH投与後6時間目に^3H-E_2を投与して光顕で観察すると,30分後には内莢膜血管や顆粒膜細胞間隙に多量の^3H-E_2の分布を認めた.さらに60分後には顆粒膜細胞,とくに卵丘顆粒膜細胞内や卵に著しい^3H-E_2の分布がみられた.これを電顕でみると,^3H-E_2は顆粒膜細胞のmicrovilli付近から取り込まれ,mitochondriaや粗面小胞体などに分布し,さらに核膜から核内に移行する所見が確かめられた. 以上,卵胞顆粒膜細胞はFSH作用下では外因性E_2を取り込まないが,FSHにつづいてLHが作用すると,E_2を細胞内へ旺盛に取り込む事実を光顕,電顕autoradiographにより観察した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-06-01
著者
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