ヒト若令婦人におけるいわゆるandrogen sterility syndrome様障害の有無に関する追求
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概要
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出生直後に蛋白同化ステロイズやtestosterone propionateの授与をうけた女性の青春期における性機能について調査を行ない,ヒトにおけるいわゆる"androgen sterility" syndrome様障害について解明を行なつた. 調査対象は出生直後より長期間にわたり大量のmethylandrostenediol (MAD)および19-nortestosterone propionate, testosterone propionate (TP)等の授与をうけた女性47名である.ステロイズ授与群の全例に初潮発来をみておりその平均令は12才7ヵ月±2ヵ月で,無処置未熟児群,および同年代の対照群と特に有意の差を認めなかつた. 排卵の有無を確かめるためのBBT測定では,10ヵ月および9ヵ月出生児の観察しえた16例中全例に連続した2相性のパターンが,また高温相におけるpregnanediol値も排卵を示しうる高値がみられた.8ヵ月出生児では3例中2例,すなわち生後1日より総量320mgという大量のMADの授与をうけた21才の1例とTP 8mgの授与をうけた15才の1例に2相性を認め,これらの高温相での尿中pregnanediol値は排卵黄体を示しうる充分量を認めた.しかし19-nortestosterone propionate 45mgの授与をうけた16才の1例では排卵周期の障害がみられた.次に7ヵ月出生児4例ではTP 60mgに加えMAD 320mgの授与をうけた18才の1例にBBTの2相性を認めたが,他の3例すなわちMAD 520mg, 155mg, 100mgが授与された21才,16才,21才の各症例には明らかな排卵周期の障害がみられた. 以上より人類においては9ヵ月以後の出生児にたとえ大量の蛋白同化ステロイズやandrogenが与えられても"androgen sterility" syndrome様障害のみられないことが明らかとなつた.しかし7〜8ヵ月出生児では排卵周期にかなりの異常をみる可能性が示唆された. 従つてこの時期にもしかしたら間脳のcyclic centerの形成されるべきcritical periodがひそんでいるのかもしれないと推定された.
- 1978-03-01
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