子宮頚癌組織抽出液に対する自己リンパ球の反応状態について : マクロファージ遊走阻止試験による
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概要
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子宮頚癌30例(Ib期 12例; II期18例)について,自己癌組織よりSonication法(一部の症例では3M-KCL法)にて可溶性抽出抗原を得,それに対するリンパ球の反応をマクロファージ遊走阻止試験(macrophage migration inhibition test,MIT)を用いて観察し,その結果を以下のMIで表現した.MI(%)=(リソパ球十可溶性抽出液添加した際の培養上清中におけるマクロファージ遊走面積)/(リソパ球単独培養上清中におけるマク戸ファージ遊走面積)×100(%)対照群として健常人20例,および子宮筋腫患者35例を対象として以下の成績を得た.1)健常人,子宮筋腫愚老の対照群での癌組織抽出抗原液に対するMIはそれぞれ,93.40±9.23;94.80±9.80であり, Mean-2SDはそれぞれ74.94, 75.20であり,MI 75%以下を有意の遊走阻止(macrophage migration inhibitory factor陽性,MIF(+))とした.2)子宮頚癌において自己正常頚部組織抽出液および自己癌組織抽出液に対するMIはそれぞれ91.90±9.73, 79.40±17.15であり,癌組織抽出液に対するMIF(+)はIb期で12例中8例(66.7%),II期で18例中5例(27.8%)であった.3)原発病巣浸潤程度とMIとの関係を見ると,浸潤軽度例(α,β型)でMIF陽性例は9例中7例(77.8%),浸潤高度例(γ,δ型)では21例中6例(28.6%)であった.4)各種免疫皮膚反応(PPD, DNCB, PHA皮膚反応)とMIの関係では,PPD陽性(18例)75.83±17.30, PPD陰性(12例)84.75±16.96; DNCB陽性(10例)84.75±16.96; PHA陽性(27例)77.93±15.79, PHA陰性(3例)97.33±24.79であった.5)経時的にMIを観察した例では術後6週間以内にMIF陽性例は全例陰性化し,これらは再発が認められない症例であった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-07-01
著者
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