各種Mitogensよりみた妊婦・褥婦のリソバ球の反応性に関する研究
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概要
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妊娠初期・中期・後期および産褥期における母体の細胞性免疫能を検索する目的で,正常に経過している妊婦,褥婦124例を対象として,末梢リンパ球の各種mitogens(PHA,Con A,PWM,SLOおよびPPD)による反応性をDNAへのtritated thymidine(H^3-TdR)の取り込みを指標として測定し,以下の成績を得た.1)末梢リンパ球のPHAによる反応性は妊娠各期,産褥期と正常非妊婦人群との問には有意の差は認められなかった.妊娠中期で最も低く,妊娠後期,産褥期と反応性が上昇する傾向にあり,妊娠中期と産褥期との比較では有意の差を認めた(p<0.01).2)末梢リンパ球のSLOおよびCOn Aによる反応性は,妊娠各期,産褥期と正常非妊婦人群との間に有意の差は認められず,妊娠各期,産褥期の間の比較でも有意の差は存在しなかった.3)末梢リンパ球のPWMによる反応性は,妊娠各期,産褥期と正常非妊婦人群との間には有意の差は認められなかった.しかしヨ妊娠中期においては最も低く,妊娠後期,産褥期と反応性は上昇し,妊娠中期とのcには有意の差(p<0.05)の存在を認めた.4)末梢リノバ球のPPDによる反応性の検討では,妊娠各期,産褥期においてはその反応性は低く,正常非妊婦人群との間に有意の低下を認めた(P<0.001).しかし妊娠客期産褥期間の比較では有意の差の存在は認められなかつた.以上の成績より要約するとそのリンバ球にとつて特異的mitogenであるPPD以外,正常非妊婦人群との比較では有意の差は認められず,リンパ球の反応性の障害は認められず,母体の細胞性免疫の低下が存在するとするならば,むしろ血清中に存在する抑制因子,および各種ホルモンによる免疫抑制効果などにその原囚を検索する方が妥当のようである.ただPPDによる反応性の低下は,in vivoにおいても妊婦,褥婦におけるツベルクリン反応の陰性化などの現象とともにさらに検討が必要と思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-04-01
著者
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