婦人科癌組織 extract による皮膚反応の免疫的特異性について

概要

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婦人科癌における癌特異抗原の分析を目的とし,子宮頚癌24例,卵巣癌15例の癌組織および対照正常組織から,3M-KCI法にてextractを作製し,皮膚反応および各種in vitro assayによって,その免疫的特異性を検討した.また,皮膚反応については,非特異的免疫皮膚反応との関係も検討した.1.皮膚反応自家癌組織extractを用いた皮膚反応では,子宮頚癌3/24例(12.5%),卵巣癌2/15例(13.3%)の陽性を観察し,一方,対照正常組織 extract による皮膚反応はいずれも陰性であった.子宮頚癌については,陽性3例を含む6例に他家癌組織 exract による皮膚反応を行なったが,いずれも陰性であった.また,良性疾患2例に子宮頚癌組織 extract による皮膚反応を行たったがいずれも陰性であった.2.in vitro assayとの相関癌組織 exractを用いたMMIT,LAI,Blastogenesisの陽性率は,子宮頚癌では30〜40%,卵巣癌では50〜60%であった.皮膚反応陽性例ではin vitro assayのどれかに陽性反応を示し,陰性例に比較しin vitro assayでも陽性反応を示す傾向にあつた.3.非特異的免疫皮膚反応との相関癌組織extractによる皮膚反応陽性例においてはPHA,DNCB,PPD,SK-SDの陽性率は60〜100%であり,一方,陰性例では40〜90%であった.特にPPD,SK-SDのrecall antigenによる皮膚反応において両者間の陽性率の差が著明であった.以上から,婦人科癌でも癌特異的免疫の成立が示された.しかし,その交叉性については否定的であった.また,in vitro assayおよび非特異的免疫皮膚反応との相関についてはその可能性が示されたが,今後症例を重ね検討する必要がある.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1980-05-01

著者

湯沢秀夫
新潟大学医学部産科婦人科学教室

婦人科癌組織 extract による皮膚反応の免疫的特異性について

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