数種の癌胎児蛋白による婦人科悪性腫瘍の診断と予後追求に関する研究
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概要
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癌と胎児との間に共通抗原として存在する癌胎児蛋白は,婦人科悪性腫瘍を追求する手段として,きわめて有力であると考えられる.これら抗原のうち,carcincembryonic antigen(CEA),α-fetoprotein(AFP)およびPlacental alkaline phosphatase(ALP_4)の3種類を組み合わせて,同時連続測定をおこない,その結果が診断と予後のfollow-upに役立つか否かを検討した.子宮頚癌治療前0-II期57例の陽性率はCEA45・6%,AFP1・8%,ALP_4は1例のみに陽性であり,III-IV期と再発例28例ではCEA100%,AFP8・6%,ALP_4は14.3%に陽性を認めた.CEAの高値での持続や再上昇例,ALP_4陽性例は予後不良であった.子宮体癌17例では12例にCEA陽性を認めたが,AFPとALP、はそれぞれ1例のみに陽性であった.卵巣癌32例ではCEA70%,AFP23%,ALP_4 14%に陽性を認めた.CEAの陽性例は,病理学的分類よりみるとmucinous typeの癌に多かった.一方AFPはgerm cell carcinoma と,mucinous typeの腫瘍に高値であった.治療の効果と予後の面からみるとCEA, AFP の増加や減少は,これらの腫瘍のin vivo における消退をよく反映した.CEA, AFP, ALP_4 の3社同時要請例はdermoid cyst とsolid teratoma immature の2例にのみ認めた.外陰癌5例では4例にCEA のみ陽性を認めた.絨毛上皮腫19例ではCEA 26.3%, AFP 5.3%, ALP_4は5.6%に陽性を認めた.以上よりCEAは,squamous cell carcinoma と,mucinous type の腫瘍に高値に出現し,AFPはgerm が,数種の癌胎児蛋白を組み合わせて,診断と予後を追求しようとする試みは,癌の生化学的診断法の中でも,きわめて有望な方法であろうと考えられる.
- 1979-12-01
著者
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