人子宮内膜由来の新培養細胞株 : 特にその細胞生物学的特性について
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概要
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悪性所見の認められない15例の人子宮内膜より組織培養を試み, その中の1例が継代可能な細胞株となつた. 新細胞株は上皮様の形態を呈し旺盛な増殖を続けており, すでに100代を経過し, OE細胞株と呼称している. 初代培養は単純子宮全摘出術で得た子宮の体部内膜を剥出し, Trypsin 処理を行なつて細胞を遊離分散させ, 20%牛血清を添加したYLE液を用いて静置培養した. OE細胞の形態は最初 Fibroblast-like cells と Epithel-like cells が混じていたが, 次第に Epithel-like cells が増加してゆき HeLa 細胞やOG細胞と類似した形態を呈するようになつた. 染色体数は Polyploid で Marker chromosome を有する. 維持培地は20%牛血清あるいはヒト胎児臍帯血清加YLE液であり, 植え込み細胞数は5×10^4/mlが適当である. 静置培養では HeLa 細胞あるいはOG細胞と形態学的に鑑別が困難であるが, 旋回培養を行なうと特有の Aggregate を形成した. その内部構造は HamsterのCheek Pouch 内への移植により形成される腫瘤の組織所見と類似しており, 一部腺様の構造を有する細胞配列を認めた. これらの細胞生物学的検索の結果はOE細胞が人子宮内膜腺上皮由来の新細胞株であることを示しており, 今後癌および内分泌系の研究に新しい分野を開拓しうるものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-03-01
著者
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