Cox理論による子宮頚癌III期の腫瘍状況の解析
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概要
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放射線医学総合研究所で治療された子宮頚癌III期の放射線単独治療例(483例)を初診時の腫瘍状況,すなわち腫瘍発育形態,子宮頚部腫瘍表面の長径,子宮腫瘍の大きさ,旁結合織浸潤および腟浸潤の大きさの五つの予後因子についてCoxの比例ハザード・モデルを用いて解析を行つた.尤度法に基く相関係数は,子宮腫瘍の大きさが子宮頚部腫瘍表面の長径並びに旁結合織浸潤との間では中程度の値を示し,その他の予後因子の組み合わせでは小さい値を示した.予後因子を単独に考慮すると,予後への影響は子宮腫瘍の大きさが最も大きく,次が旁結合織浸潤で,腟浸潤の大きさが最小であつた. 二つ以上の予後因子を同時に考慮した場合では,各因子間で相関が小さく,予後への影響があり,しかもパラメータの値が統計的に有意である条件の組み合わせは,腫瘍発育形態と子宮頚部腫瘍表面の長径と旁結合織浸潤の三つが最も影響が大きく,最悪状態と最良状態の死亡率の比は33.6倍であつた.この組み合わせのCox理論による5年生存率は最悪状態より最良状態が2倍以上である.どの予後因子とも相関の小さい腟浸潤の大きさを加えた組み合わせでは,同様の死亡率の比は48.4倍となるが,四つの因子のうち腟浸潤のパラメータだけは統計的有意性が認められなかつた.II期とIII期を対象として,腫瘍発育形態と子宮頚部腫瘍表面の長径を考慮すると,5年生存率でII期ょりもIII期の方が良い場合があることが判つた.同様のことはIII期とIVa期についても認められた. Cox理論はIII期癌の全症例の生存率を解析し,その後目的とする状況の生存率を計算するため,対象症例のみを直接計算するKaplan-Meier法よりも細かく滑らかな生存率曲線が得られた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
-
田伏 勝義
埼玉県立がんセンター放射線科
-
飯沼 武
放射線医学総合研究所
-
中村 譲
埼玉医大放射線腫瘍科
-
中村 譲
放射線医学総合研究所
-
田伏 勝義
名古屋大学医学部保健学科
-
荒居 竜雄
放射線医学総合研究所
-
荒居 龍雄
放射線医学総合研究所
-
荒居 龍雄
本島総合病院
-
福久 健二郎
放射線医学総合研究所重粒子治療センター
-
中村 譲
埼玉医科大学病院 放射線腫瘍科
-
中村 譲
埼玉県立がんセンター放射線治療部
-
飯沼 武
埼玉県立がんセンター放射線医学総合研究所
-
福久 健二郎
科学技術庁放射線医学総合研究所
-
福久 健二郎
放射線医学総合研究所
-
田伏 勝義
埼玉県立がんセンター放射線治療部物理室
-
福久 健二郎
放射線医学総合研究所 医療情報室
-
田伏 勝義
名古屋大学大学院医学系研究科
-
田伏 勝義
埼玉県立がんセンター
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