卵巣腫瘍におけるFAS抗原の発現について
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概要
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良性腫瘍12例,境界悪性腫瘍14例,卵巣癌32例の上皮性卵巣腫瘍におけるFAS抗原の発現を免疫組織学的方法により,アポトーシス細胞をTdT-mendiated dUTP nick end labeling (TUNEL)法により検討し以下の結果を得た.良性腫瘍,境界悪性腫瘍では全例FAS抗原陽性であったが,卵巣癌では陽性例は32例中16例(50.0%)であった.卵巣癌の臨床病理学的所見とFAS抗原の発現との関係は,進行期でI+II期の16例中13例(81.0%)がFAS抗原陽性であったが,III+IV期では陽性例は3例(18.8%)のみでI+II期に比べ有意に少なかった(p<0.01).組織型では漿液性腺癌の18例中6例(33.3%),漿液性腺癌以外の14例中10例(71.4%)がFAS抗原陽性であった.漿液性腺癌で陽性例が少なかったが両群に有意な差はみられなかった.分化度では高分化型のものは全例FAS抗原陽性であった.中分化型,低分化型ではFAS抗原が陽性であったものはそれぞれ7例(38.9%),6例(54.5%)であった(有意差なし).TUNEL陽性率は両性腫瘍0.1±0.1%,境界悪性腫瘍0.9±0.5%,卵巣癌2.1%±1.0%で,陰性の卵巣癌のTUNEL陽性率(2.2%±1.2%)と同じであった.以上,良性腫瘍,境界悪性腫瘍では全例FAS抗原陽性であったが,卵巣癌の約半数の例でFAS抗原の発現は消失していた.これらFAS抗原陰性の卵巣癌には進行例が有意に多かった.また,卵巣癌においてFAS抗原の発現とTUNEL陽性率との間には関係はみられなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1999-10-01
著者
-
柴田 金光
国立名古屋病院 病理
-
金田 次弘
国立名古屋病院
-
六鹿 正文
国立名古屋病院産婦人科
-
金田 次弘
国立名古屋病院 臨床研究部
-
金田 次弘
国立名古屋病院臨床研究部
-
金田 次弘
国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター血液免疫研究部
-
六鹿 正文
国立名古屋病院
-
柴田 金光
国立名古屋病院産婦人科
-
柴田 金光
国立名古屋病院
-
三輪 是
国立名古屋病院産婦人科
-
三輪 是
名古屋市立城西病院 産婦人科
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