当地方における子宮頸癌の集団検診成績

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子宮癌の治療に際してその予後を左右するものは早期発見と最も適切なる早期治療とである. そのためには患者の早期受診が最も必要であるが, 当科を訪れる患者には依然としてIII-IV期のものが多い. この現実をいくらかでも打破したいと考えて1959年以来, 当地方で子宮頚癌の集団検診を行なってきているが, 1962年1月までの分の集計成績を報告した. 1. 当地方の6地区の婦人1,239名に対してコルポスコピー, 塗抹細胞診および組織検査による集団検診を行ない, 計9名(0.7%)の浸潤癌と2名(0.2%)の上皮内癌とを発見した. このうちI期のものは5名, II期, III期のものは各1名ずつ, IV期のものは2名であった. 2. 集団検診で発見された頚癌患者の平均年令は48.73±5.13才で, 非癌婦人の平均年令41.13±0.49才に比し有意に高令であった. 3. 頚癌患者の平均妊娠回数は7.33±1.02回で, 非癌婦人群の平均5.47±0.20に比し有意の高値を示した. 4. 分娩回数の平均は頚癌群では6.33±1.15回で, 非癌帰人群の平均4.18±0.16回よりもやはり有意に高かった. 5. 流早産や人工妊娠中絶の回数と頚癌罹患との間には関連は認められなかった. 6. 近親者における癌発生頻度を頚癌群と非癌婦人群とに分けて比較したが, 両群の間には有意の差はなかった. 7. コルポスコピーで子宮腟部ビランを認めたものは非妊婦群では966名中584名(60.5%),妊婦群では25名中21名(84.0%)であった. 8. コルポスコピーによる癌発見率は9例中全例(100%), 塗抹細胞診では9例中7例(78%)であった. 9. コルポスコピーで認められる顕著な異常所見には, 40才以下のものでは異所増殖が多いが, それ以上の年令層では年令のすすむにつれて変換帯の方が多かった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1963-09-01

当地方における子宮頸癌の集団検診成績

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