所謂「冷え症」の本態に関する免疫血清学的研究(その8)
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概要
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広汎な臨床並びに基礎的研究の結果,所謂「冷え症」は非特異性アレルギー機序の主として産婦人科学的表現に他ならないと推定せざるを得ない.本症本態の多角的な免疫血清学的研究成果は,本症の非特異性アレルギー説にかなり有力な裏付けを与え得たものと信じているが,殊に胎盤及び絨毛の素抽出組織抗元で感作したタンニン酸処理赤血球に対する冷え症並びに妊産婦血清の凝集反応のscreening testは,この様な非特異性抗元が単に人血流中並びに皮膚のみでなく,臓器組織中に広く分布している可能性について相当な根拠を与えたものと考える.臓器組織の特異性抗元については所謂「自家抗元抗体反応」検索の一環として現在かなり深く追求もされ,輝かしい業績も2,3にとどまらない.しかるに臓器組織の非特異性抗元に関する研究は皆無であるといつても過言ではない.又持異性抗元にしてもその抗元性の由来に関する理論的解明は難航を続けている.臓器非特異性抗元に至つてはその成因,本態共全く不明であり,これが解明には容易ならざる隘路が予想される.前報に於ては単に胎盤及び絨毛中に存在するこの様な非特異性同種抗元の存在を任意の人血清についてin vitroで証明し,併せてこの様な微量抗元の証明に極めて有力なタンニン酸処理赤血球凝集反応実施上の基本的条件を吟味した.本反応の意義は極めて重要である事に鑑み,本稿に於ては更に徹底した反応の成立機序に対する検討を行なう事を第1の目的とし,更に詳細なスクリーニングを行なうと同時に母血清,〓帯血清間の凝集価の差異,臓器の漿膜側と実質,或いは管腔粘膜側に於ける反応態度の差異等に関する2,3の新知見を得たので報告する.
- 1967-06-01
著者
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