産褥期の視床下部 : 下垂体 : 卵巣系の機能
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概要
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産褥期の視床下部-下垂体-卵巣系の機能については未だ不明な点が多いので,今回我々は正常褥婦を対象としてこれを検討した.1)血漿LH-RH濃度は産褥5,10日では低く,以後上昇したが,産褥30日でも正常月経周期8-9日の約70%であった.2)血清FSH濃度は産擬5,11日では正常月経周期8-9日と比較して有意に低値であったが,以後増加し,産褥30日では正常月経周期8-9日よりやや高い値を示した.3)血清LH濃度は分娩後急速に減少し,正常月経周期8-9日と比較して,産褥11日ではほぼ同値,産褥20日では有意な低値を示したが,以後増施し,産褥30胃では正常月経周期8-9日とほぼ同値を示した.4)血清prolactin濃度は産褥11-30日の間高値を示した.5)血清estradiol濃度は分娩後急速に減少し,産褥11日では正常月経周期8-9日と比較して有意に低く,以後産褥30日まで低値であった.6)産褥11日では血清FSH,LHはLH-RHに全例反応を示さなかった.7)産褥5日から10日までLH-RH100μg連日負荷例では産褥11日で,無処置例と比較して血清FSHの基礎値は有意に高く,LH-RHに血清FSHは全例,血清LHは5例中1例が反応した.LH-RHの連日負荷量を300μgに増量すると血清LHは4例中3例が反応した.8)産褥20日ではLH-RHに血清FSHは全例,血清LHは半数が反応し,LH反応例はLH無反応例に比し,血清FSHの基礎値は有意に高かった.9)産褥30日ではLH-RHに血清FSHは過大反応,血清LHは正常反応を示した.以上の成績より,産褥30日間,特に最初の10日間は視床下部よりのLH-RHの分泌は少なく,また産褥初期での血清FSHの低値およびLH-RH testでの下垂体の無反応は視床下部よりのLH-RH分泌低下に起因していることが判明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-07-01
著者
-
森下 一
徳島大
-
森下 一
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
樋口 和彦
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
中郷 吉二郎
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
森 崇英
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
樋口 和彦
県立津田病院産婦人科
-
橋本 公
国立善通寺病院
-
三谷 弘
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
橋本 公
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
大島 一洋
徳島大学医学部附属病院検査部
-
大島 一洋
徳島大学医学部
-
中郷 吉二郎
徳島大
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