胎児 ECMO における気管結紮の肺成長促進効果
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概要
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胎児ECMO下における胎児肺の成熟について気管結紮による効果を検討した.在胎120∿130日(満150日)の山羊胎児を帝王切開して, 臍帯動・静脈を用いたA-V ECMOを開始し, 40℃に加温した恒温槽の中に胎児を移し, 10∿15cm沈め, 水中で保育した.ECMO施行の8例を気管結紮例の4例と気管開放例の4例とにわけ, ECMOを施行しなかった双胎児4例を非ECMO例(在胎125日のbaseline data)とし, この時点より肺の成長や成熟がどのように進むかを検討した.ECMO時間は気管開放例は107±41時間, 気管結紮例は139±67時間, ECMO終了後の体重は, 気管結紮例においてECMO開始時の体重より有意に増加した.肺組織中のレシチンおよび飽和レシチンは非ECMO例, 気管開放例, 気管結紮例の順に高い傾向を示したが, 非ECMO例と気管結紮例において有意差を認めた.湿肺重量, 乾燥肺重量, 乾燥肺体重比は気管結紮例が非ECMO例より有意に増加した.一方, 電子顕微鏡所見はII型細胞数/肺胞上皮細胞数(%)において非ECMO例より気管開放例, 気管結紮例が有意に増加した.また, コルチゾールは, 非ECMO例より気管結紮例が有意に高い値を示し, さらにT3は非ECMO例, 気管開放例, 気管結紮例の順に有意に上昇した.気管開放例, 気管結紮例では各々2例で胎児呼吸様運動が出現した.水中保育下の胎児ECMOにおいて, 気管結紮が, 肺重量, サーファクタント, 肺胞II型細胞の増加に有効に作用していることが呈示された.
- 日本小児外科学会の論文
- 1998-06-20
著者
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伊東 宏
神戸大学第一病理
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伊東 宏
神戸大学医学部第一病理
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岡田 昌義
神戸大学第二外科
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久野 克也
神戸大学第2外科
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久野 克也
加古川市民病院小児外科
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安福 正男
神戸大学第2外科
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坂田 雅宏
神戸大学第2外科
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岡田 昌義
兵庫大学健康科学部
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伊東 宏
神戸大学医学部産科第1病理学教室
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伊東 宏
神戸大学医学部附属病院第一病理
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伊東 宏
神戸大学第一病理学教室
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