マウス卵巣の器官培養における"押潰し法"の提唱
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Roseの還流式培養装置を用いて高日令マウス卵巣の器官培養を試みる場合,該卵巣に"固さ"が生ずるため,本装置の利点を生かした器官培養をなさしめるためには該卵巣の圧迫・固定に何等かの工夫が必要である. 今回我々は高日令マウス卵巣に新しい圧迫・固定法,即ち"押潰し法"を試み次の如き結論を得た. (1) 高日令マウス卵巣を"押潰し法"によつて圧迫・固定すれば,卵巣の組織学的構成単位としての卵胞の種々の発育段階のものを得ることが出来る.そして之等卵胞を位相差顕微鏡使用によつて,in vitroで,生きたままの状態で,且つ細胞レベルで観察することが可能であることを知つた. (2) "押潰し法"によつて間質組織から分離されたり,或いは間質組織との正常な組織学的関係を破壊されたりした之等種々の発育段階の卵胞は,形態的には卵巣の組織学的構成単位としての卵胞の形態をととのえてはいるが,機能的単位として,果してin vivoと同じ機能を持つているかどうかは今後充分なる検討を要することと思われる. (3) しかしRoseの還流式培養装置使用による短時間のin vitroにおける卵巣の研究には,卵巣のmorphological and functional subunitとして充分利用できるものと思われる. (4) "押潰し法"によつて得られた之等各種の発育段階の卵胞が,今後の研究によつてfunctional subunitとしての働きが,in vitroで,かなりの程度まで期待できることが判明すれば,この"押潰し法"は高日令マウス卵巣以外の各種の"固い"器官・組織についても,該器官・組織のmorphological and functional subunitのin vitroにおける細胞レベルの形態と機能の同時追求のために有用な実験材料を提供することになろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-01-01
著者
関連論文
- 高日令マウス卵巣の器官培養
- 分娩難易の判定法 (難産とその対策)
- 細胞培養に於けるKanamycinの至適添加量について
- 細胞培養に於けるMethocillinの至適添加量について (基礎的研究)
- マウス卵巣の器官培養における"押潰し法"の提唱
- 生殖生理学とEgg Transfer
- マウス卵巣の器官培養 (特に Rose の還流式培養法の有用性について)
- 誌上発表 羊水・胎盤・周産期児および婦人科一般に関する群 117. 重複奇形 (胸結合体) による産科急症の一例 ( 羊水・胎盤・周産期児・婦人科一般群)
- 継代培養せる人胎盤細胞の位相差顕微鏡に依る観察 : 特に培養細胞の同定に関する一考察
- 人胎盤細胞の継代培養について : 特に人胎盤細胞の内分泌機能研究への応用に関する一考察