子宮体癌細胞における接着分子E-cadherinとin vitro浸潤に関する実験的研究

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E-cadherinの発現, 浸潤能の異なる子宮体癌細胞株3株NUE-1, HEC-1BE, HEC-108を用いて抗E-cadherin抗体HECD-1添加によるin vitroの基底膜への浸潤能の変化をin vitro invasion assayを用いて測定した。また, matrix metalloprotcinase (以下, MMP) の産生能を観察した。さらに, これらの細胞株の形態学的特徴及びHECD-1の影響を検討するために超微形態学的観察を行った。E-cadherinの発現は, NUE-1はほとんど認めず, HEC-1BEはheterogeneousに弱く発現し, HEC-108はほぼすべての細胞表面に強く発現した。Invasion assayでNUE-1は高浸潤能を示したが, ほかの2株は低かった。また, NUE-1はHECD-1添加により浸潤細胞数の増加は認められなかったが, HEC-1BEとHEC-108は5μg/ml添加によりそれぞれ223±41.2%, 307±173%と有意に浸潤細胞数が増加した。しかし, HECD-1添加によるMMPの産生能の変化はなかった。電子顕微鏡ではNUE-1はporeに偽足様突起をfilter内のMatrigel中に延ばしながらに通過するのに対し, HEC-1BE及びHEC-108はporeを占拠し球状に突出し通過する所見を示した。一方, HECD-1を添加した場合は, NUE-1は形態学的変化はなかったが, HEC-1BE及びHEC-108は細胞間の結合が疎となるだけでなく, 偽足様突起を延ばすようになり, Matrigel中にその突起を延ばしNUE-1に類似した浸潤形態を示した。HECD-1の添加により細胞間接着能を阻害すると癌の浸潤能が促進すると考えられ, 子宮体癌細胞株の浸潤過程においてE-cadherinの機能低下が重要な役割を果たすことが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1996-05-01

子宮体癌細胞における接着分子E-cadherinとin vitro浸潤に関する実験的研究

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