子宮頚癌, 卵巣癌における腫瘍増殖動態と治療効果との関連
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概要
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婦人科癌 (子宮頚癌, 卵巣癌) における増殖相細胞割合 (growth fraction: GF), DNA ploidyと, 放射線療法および化学療法の治療効果との関連性について検討した。まず, 基礎的検討として, パラフィン包埋検体を用いてPCNAの有用性について検討し, 次に臨床的検討として, 放射線単独治療を行った子宮頚癌症例21例, CDDPを中心とした化学療法を行った卵巣癌症例47例における放射線療法および化学療法の直接効果とGFおよびDNA ploidyとの関連性について検討を行い, さらに, GFと長期予後との関連性について, Kaplan-Meier法を用いて検討を行った。1. 同一症例での新鮮検体を用いたKi-67とPCNAの標識率, および同一症例での新鮮検体とパラフィン包埋検体を用いた場合のPCNAの標識率にはそれぞれ高い相関性が認められ (p<0.01), GFの検討にPCNAは有用であり, パラフィン包埋検体を用いたretrospective studyへの応用は可能であると考えられた。2. 子宮頚癌において, 40Gy未満の放射線線量で大星・下里分類のG4に至った症例のGFは, 40Gy以上要した症例のGFと比較して有意に高い傾向を認めたが (p<0.01), DNA aneuploid症例の頻度は両者間に有意差は認めなかった。また, GF 35%以上の症例はGF 35%未満の症例に比較して有意に予後良好な傾向を認めた (p<0.01)。3. 卵巣癌において, CR群のGFはPR・NC・PD群のGFに比較して有意に高い傾向を認めたが (p<0.05), DNA aneuploid症例の頻度は両群間に有意差は認めなかった。また, GF 35%以上の症例はGF 35%未満の症例に比較して, 予後良好な傾向を認めた。以上より, PCNAを用いた免疫組織染色によるGFの測定は, 子宮頚癌m-N期症例における放射線療法, および卵巣癌III・IV期症例における化学療法の直接効果と予後を推測するための重要因子の一つとして有用であると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-01-01
著者
-
渡部 洋
近畿大学医学部産科婦人科学教室
-
池田 正典
近畿大学医学部産科婦人科学教室
-
池田 正典
近畿大学産婦人科
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池田 正典
近畿大学医学部産婦人科
-
池田 正典
近畿大学
-
南條 亨
近畿大
-
南條 亨
近畿大学医学部産科婦人科学教室
-
渡部 洋
近畿大学 医学部産科婦人科学教室
-
南條 亨
近畿大学
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