7,12 dimethylbenz(a)anthracene(DMBA)誘発ラット卵巣腫瘍における抑制癌遺伝子p53, およびN-myc遺伝子の発現の組織学的検討

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7, 12 dimethylbenz (a) anthracene (DMBA) 誘発卵巣腫瘍においてp53とN-myc発現としての局在について検討を行い, 既に報告したp21との関連についても検討した。1) p53: adenomaにおいては, 17%にp53の発現が認められた。また, adenocarcinomaにおいては, 37%の発現率であった。sarcomaとmixed mullerian tumor (MMT) には発現を認めなかったが, epidermal cystには発現を認めた。同種移植腫瘍とDMBA-OC-1は発現を認めなかった。2) N-myc: adenomaにおいては, 33%にN-mycの発現が認められた。また, adenocarcinomaでは77%の発現率であった。sarcomaとMMTは, すべてに発現を認めた。一方, epidermal cystについてN-mycは, 発現を認めなかった。同種移植腫瘍とDMBA-OC-1には, 発現を認めた。3) p53とN-mycのp21との発現の検討 : p53とp21: adenocarcinomaにおいて20%にp53とp21の両方の発現を示し, epidermal cystにて発現を認めた。しかし, 他の腫瘍において同時に発現しているものは認められなかった。N-mycとp21: adenoma 17%に, adenocarcinoma 50%に, sarcoma 33%に発現を示した。さらに, 同種移植腫瘍株とDMBA-OC-1の株化細胞は発現を示した。しかし, p53, N-mycおよびp21のすべてに発現を示すものはadenocarcinomaの2例のみであった。4) N-mycとp21の同時陽性率はp53とp21の同時陽性率より高い結果が得られたが, これはDMBA誘発卵巣腫瘍においても他の腫瘍の報告と同様であった。p53が良性腫瘍においても発現していることは, 癌化抑制の前段階として働いている可能性を示唆しているものと考えられ, N-mycの発現の起こった段階においては既に無限の増殖能を獲得しているものと推測された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-04-01

7,12 dimethylbenz(a)anthracene(DMBA)誘発ラット卵巣腫瘍における抑制癌遺伝子p53, およびN-myc遺伝子の発現の組織学的検討

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