超音波ドプラ法による月経周期における卵巣動脈血流動態の変化に関する検討および血清ホルモン値との相関について

概要

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カラードプラ法およびパルスドプラ法を用い, 月経周期における卵巣動脈の血流動態の変化に関する検討を行い, さらに血清ホルモン値との相関について検討した. 月経周期の規則的な健常婦人9例に対して, のべ71回の超音波検査を施行した. 卵胞あるいほ黄体形成の認められる卵巣をactive ovary, 反対側の卵巣をinactive ovaryとした. 卵巣動脈の血流動態の評価にはPulsatility index(PI)を用いた. 1) active ovaryのPIは増殖前期で6.93±1.84, 増殖後期で2.43±0.34と有意に減少し(p<0.001), 分泌前期では0.70±0.10とさらに減少した(p<0.001). 分泌後期では1.01±0.22となり分泌前期に比べて有意に増加した(p<0.001). 2) inactive ovaryのPIは増殖前期で6.76±1.41, 増殖後期で6.29±1.02, 分泌前期で6.78±1.79, 分泌後期で6.43±1.68であり, その増減に有意な変化は認められなかった. 3) active ovaryとinactive ovaryのPIに関して, 増殖前期では有意差がなく, 増殖後期, 分泌前期, 分泌後期では有意差が認められた(p<0.001). 4) active ovaryのPIと血清プロゲステロン値との間に有意な負の相関が認められた(r=-0.53, p<0.05). active ovaryのPIと血清エストラジオール値との間には相関は認められなかった. 5) active ovaryのPIを目的変数, プロゲステロン,エストラジオールを説明変数として重回帰分析を行った結果, プロゲステロンは有意にactive ovaryのPIに影響を与え(p<0.05), エストラジオールはactive ovaryのPIに影響を与えないことが判明した. 以上の結果より, 健常婦人の正常月経周期における卵巣動脈血流動態の生理学的変化およびそれに影響すると思われるホルモン学的因子が明らかとなった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1990-07-01

超音波ドプラ法による月経周期における卵巣動脈血流動態の変化に関する検討および血清ホルモン値との相関について

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