子宮頚部初期病変に対するCO_2レーザー円錐切除術の臨床的検討
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概要
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子宮頚部初期病変120例に対して, cold knifeによる円錐切除術およびCO_2レーザーによる円錐切除術を行い以下の結果を得た. cold knife法の対象は42例で, 術後組織診断によるその内訳は, CIN (cervical intraepithelial neoplasia) I 1例, CIN II 3例, CIN III 28例, Ia期9例, Ib"occ" 1例であり, うち15例が保存的治療の対象となった. レーザー円錐切除術の対象は, CIN I 4例, CIN II 13例, CIN III 51例, Ia期8例, Ib"occ" 2例の計78例で, うち49例が保存的治療の対象となった. 平均手術時間は, cold knife法が, 37.7±10.2分であったのに対し, レーザー法では55.0±16.7分を要し, レーザー法にエピネフリンの局所注入を併用した場合は36.4±15.0分と短縮した. 術中出血量は, cold knife法で117.3±82.6mlであったのに対し, レーザー法では82.5±91.4ml, エピネフリン併用レーザー法の場合は25.4±39.5mlと前者に比べ後二者では有意(p<0.05)に少なかった. 術後止血処置を要した症例は, cold knife法で42例中6例(14.3%)であったのに対し, レーザー法では78例中1例(1.3%)と有意差(p<0.01)を認めた. 保存的治療の対象となった症例の一次治療成績(術後8週), 二次治療成績(術後1年)は, cold knife 法, レーザー法共にいずれも100%であった. 術後コルポ診上UCF(unsatisfactory colposcopic findings)となった症例は, cold knife法では, 15例中11例(73.3%)であったのに対し, レーザー法では49例中9例(18.4%)と有意(p<0.001)に少なかった. レーザー円錐切除術による摘出標本において, レーザーによる熱性変性層は, 切断面から平均200μm, 最大で300μmであり, 病理組織診断には支障がなかった. 以上の結果から, CO_2レーザー円錐切除術は, 子宮頚部初期病変に対する詳細な診断と治療を兼ね備えた優れた方法であるといえる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-01-01
著者
-
福田 耕一
佐賀医科大学産科婦人科
-
岩坂 剛
佐賀医科大学産科婦人科
-
杉森 甫
佐賀医科大学産婦人科
-
蜂須賀 徹
佐賀医科大学産婦人科
-
林 嘉信
佐賀医科大学産婦人科
-
松尾 憲人
佐賀医大
-
松尾 憲人
佐賀医科大学産婦人科
-
大隈 良成
佐賀医科大学産婦人科
-
林 嘉信
新日鉄病院
-
杉森 甫
佐賀医科大学
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