ラット黄体内3β-HSD活性陽性細胞の妊娠経過に伴う形態的, 機能的変化

概要

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ステロイド産生細胞の妊娠に伴う形態的および機能的変化を検討するため, 妊娠5, 10, 15, 20日目のSD系ラットより黄体細胞浮遊液を作製し, 3β水酸化ステロイド脱水素酵素活性陽性細胞 (3β陽性細胞) の数の割合と直径の変化を観察した。同時に, 黄体細胞のプロゲステロン分泌能およびhCG/LHレセプター量を測定した。黄体内の細胞数は妊娠5日目の406.2±34.7×10^3個から20日目の952.2±93.3×10^3個へと増加したものの, 3β陽性細胞数は妊娠5, 10, 15, 20日目でそれぞれ148.0±13.7×10^3個, 130.1±25.4×10^3個, 134.0±23.5×10^3個, 116.8±13.5×10^3個とほぼ一定であった。一方3β陽性細胞の直径は, 妊娠5日目18.5±0.28μm, 10日目20.8±0.43μm, 15日目31.6±0.41μm, 20日目35.7±0.50μmと増加していった。3β陽性細胞のプロゲステロン分泌能は, 妊娠5, 10, 15日目でそれぞれ3β陽性細胞一個あたり0.55±0.22 pg, 0.73±0.20 pg, 0.57±0.09 pgとほぼ一定の値を示したが, 妊娠20日目には0.23±0.04 pgと有意に減少した。3β陽性細胞一個あたりのhCGレセプター量は妊娠期間を通じて増加したが, hCG (100 ng/ml) に対する反応性は妊娠15日目から20日目にかけて減少した。一方, 10 mMのdbcAMP刺激による3β陽性細胞からのプロゲステロン分泌量の増加率は, 妊娠のどの時期においても同様であった。妊娠5日目から20日目にかけて黄体内の3β陽性細胞の数は一定であるものの3β陽性細胞は肥大していくこと, 形態的には肥大し続けている15日目から20日目の期間にプロゲステロン分泌能は減少し同時にhCGに対する反応性も減少すること, しかしその時期にあってもdbcAMPに対する反応性はよく保たれていたことなどより, ステロイド産生細胞の形態と機能は異なる機序で調節されており, またプロゲステロン分泌は少なくとも二つの異なる機構を介して行われていることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-05-01

ラット黄体内3β-HSD活性陽性細胞の妊娠経過に伴う形態的, 機能的変化

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