IUGR並びに羊水過少における胎児腎動脈血行動態に関する超音波学的検討
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概要
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妊娠20〜40週の正常発育を示す胎児102例 (正常群), 妊娠32〜40週の羊水過少を伴わないIUGR 11例 (A群), 羊水過少-正常発育胎児15例 (B群) 及び羊水過少-IUGR 10例 (C群) を対象に, カラードプラ法及びパルスドプラ法を用いて胎児腎動脈の血流速度波形を解析するとともに, 大動脈及び肺動脈の血流計測を行い以下の結果を得た。(1) 腎動脈血流速度波形は拡張期波形が後続の収縮期波形まで持続するType I, 拡張期波形は認められるが後続の収縮期波形まで持続しないType II, 及び拡張期波形が認められないType IIIの3型に分類され, 正常胎児では妊娠の進行に伴い, Type IIIからType Iへと変化した。(2) 正常胎児では, 腎動脈V_<MAX>及びV_<EA>は妊娠20〜23週から妊娠28〜31週まで妊娠週数とともに有意に増加し, その後一定の値を示したが, V_<ED>は妊娠20〜40週の期間中有意に増加した。一方, RI_<EA>は妊娠20〜23週から妊娠28〜31週までは妊娠週数とともに有意に低下し, それ以降ほぼ一定の値を示したが, RI_<ED>は妊娠の進行に伴い低下し, 特に妊娠32週以後は有意な変化を示した。(3) 妊娠36〜40週においてA群では正常群と比べ腎動脈RI_<ED>は有意に高値を, B群ではV_<MAX>が有意に低値を示した。C群ではV_<MAX>及びV_<ED>は妊娠32週以後, V_<EA>は妊娠32〜35週で正常群に比べ有意に低値を示し, RI_<ED>は妊娠36〜40週で有意に高値を示した。(4) 大動脈及び肺動脈V_<MAX>はA, B, Cの3群とも正常胎児の値に比し低値を示した。以上より, 正常胎児では妊娠の進行に伴い腎動脈の血流速度は増加し, 末梢血管抵抗は減少したが, 羊水過少を伴う胎児では最高血流速度が低下し, IUGRでは末梢血管抵抗が増加し, 更に両者の合併症例では血流速度の低下に加え末梢血管抵抗の上昇が認められた。また, これら異常例における腎血行動態の低下の一因として局所的な変化に加え心拍出量の低下が示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-11-01
著者
-
加藤 紘
山口大学医学部産科婦人科学教室
-
岡田 理
国立山口病院産婦人科
-
斎藤 剛
山口大
-
秋田 彰一
山口大学医学部産科婦人科学教室
-
岡田 理
山口大学医学部産科婦人科学教室
-
斎藤 剛
山口大学医学部産科婦人科学教室
-
是沢 正寛
山口大学医学部産科婦人科学教室
-
秋田 彰一
社会保険小倉記念病院産婦人科
-
加藤 紘
山口大学医学部
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