児童と教師の人間関係の研究III : 発達的傾向の一般的特徴
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概要
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この研究は,児童が教師に対する態度の発達を調べ,各学年ごとの発達的傾向を系列的に提示し,その特質のプロフィールを示すことを目的とした。この目的のために,教師に依頼して,教室や運動場で児童がかれらに対して示す態度について,その特徴的で一般共通的なものを収集し,観察記録してもらった。ついでこれを整理し簡明な文章表現によって示し,83項目からなる行動目録を作製し,再び教師に渡して,行動目録の各事項について,どの項目がどの学年で最も特徴的に頻繁に現れるか,これをかれらの現任までの教師経験期間の観察を基準にして判断してもらった。観察評定に参加した教師は107名(男教師47名,女教師60名)である。以上の結果は,教師に対する児童の態度の発達傾向を各学年段階ごとの横断的特質を序列的に示すことで表示した。結果として得られた行動目録は,固定的な発達の基準を示したものではなく,発達的傾向のだいたいの基準を示したものであり,それぞれの学年で,現れやすい行動の種類を例示するにとどまったものである。児童の教師に対する態度の発達を解釈する要因として,肯定的・依存的・開放的態度と,これに対する否定的・独立的・閉鎖的態度との2個の態度要因を仮定した。前者の要因は,1・2・3年および5・6年の各学年段階における対人関係の基調であり,後者の要因は4年および中学の各学年段階の基調として,顕在する態度であることを見い出した。
- 日本教育心理学会の論文
- 1960-03-30
著者
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