児童と教師の人間関係の研究 II : 児童の態度に影響する教師の条件
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概要
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児童と教師の人間関係で,教師の人格特性や教育的指導態度が,その関係形成にいかなる影響を与えるか,この点を調査した。このために,まず6個の学級について,学級児童が担任教師に対して示す態度を調べた。その態度とは,尊敬・親和・信頼・服従の親近愛着の関係性および嫌悪・反抗・軽蔑・恐怖・不安の疎遠離反の関係性としての対人態度である。次に,その学級における担任教師の人格特性と,教育的指導態度を調べた。人格特性として,性別・年令・向性(社会的向性・思考的向性・劣等感・神経質・感情変易性・一般向性を含む)および教職経験年数・最終学歴を取り上げ,教育的指導態度は,1. 愛情ある態度-冷淡な態度,2. 強制的態度-自由放任的態度,3. 熱心な態度,5. 教育職務に勤勉熟達した態度-不勤勉未熟な態度を取り上げて調査した。次の,この調査で明らかにされたところの児童が教師に示す態度と,教師の人格特性ならびに教育的指導態度との両者を相互に相関させて,因子分析法によって,児童と教師の人間関係に影響する教師の条件を研究した。その結果,教師の年令や性別は,児童-教師関係に比較的影響を与えていないが,教育的指導態度の如何が重要な条件となっていることがわかった。それをまとめると次のようになる。児童から親近愛着されていない教師は,指導技術が拙く,よく叱り,強制的であって,偏愛する教師である。女子児童から親近愛着されるが,男子児童から疎遠離反される教師は,指導は熱心だが感情的で,ささいなことも見逃さず,強制的で躾が厳格な傾向が認められた。男子教師はW的正確が認められた。男子児童からも女子児童からも親近愛着される教師は,教育技術にすぐれた教師,または若く活溌で明朗な教師で,共に遊び共に学ぶ教師であった。児童に対して愛情的で,寛容で熱心であり,強制的ではなく無理をしていないことが明かにされた。
- 1959-09-30
著者
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