脳血管障害と長潜時体性感覚誘発電位 : いわゆる痛み関連大脳誘発電位
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概要
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手指の電気刺激によって頭皮上,潜時100〜500 msecで,3相性 (N1-P1-N2) に得られる長潜時体性感覚誘発電位は,健常者では与えられた刺激の主観的痛み強度と関連することで知られている.本研究ではこの電位の測定法を確立するとともに,健常者における正常値を求めたうえで,73例の一側性テント上病変を有する脳血管障害患者に適用し,知覚障害との関係を検索した.示指指尖部を5〜10secに1回のランダム感覚で疼痛域の電気刺激を行い,両側耳朶を基準に頭皮上多電極から誘発電位を導出した.筋電位のアーティファクトを除いたうえで,16回の少数加算することで,多数回刺激による電位の減衰(慣れ現象)を防ぐことによって再現性のよい波形を得ることができた.患者群に年齢を一致させた健常者群においては,N1, P1, N2の平均潜時は150, 250, 425msec であった.N1-P1, P1-N2 振幅は頭皮上左右半球差はなく,また左右の刺激側による電位の差もなかった.これに対して患者群では,患側刺激における誘発電位低下例が存在し,これは位置覚・表在覚障害と有意に相関したが,特に表在覚障害との関連が明らかであった.またこれは運動麻痺の程度とは相関しなかった.
- 1990-03-18
著者
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岡島 康友
慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
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岡島 康友
杏林大学 医学部 整形外科学教室
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岡島 康友
杏林大学 リハビリテーション医学教室
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岡島 康友
杏林大学 医学部リハビリテーション医学教室
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