鉄ポルフィリンが介在した有機リン剤の酸化的活性化と分解
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概要
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3種の鉄ポルフィリンを経由する生物模倣系の酸化分解をフェニトロチオン(I),シアノフォス(II),トルクロフォスメチル(III),ブタミフォス(IV),フェンチオン(V)の5種の有機リン農薬について調べた.I-Vの主分解物は,チトクロームP450酵素による哺乳動物代謝で報告されているP-Oアリル結合の開裂によるフェノールとP=S部分の酸化的脱硫によるオキソンであった.Vでは,メチルチオ基の硫黄原子の段階的酸化によりスルフォキシド,スルフォンの生成とエステル開裂とこれに続く酸化的脱硫が進行した.各農薬のMNDO-PM3計算により最高被占軌道の電子分布とそのエネルギー準位が反応部位ならびに硫黄原子での反応速度を制御していることが示された.
- 日本農薬学会の論文
- 2005-05-20
著者
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片木 敏行
住友化学生物環境科学研究所
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片木 敏行
Environmental Health Science Laboratory Sumitomo Chemical Co. Ltd.
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藤澤 卓生
Environmental Health Science Laboratory, Sumitomo Chemical Co., Ltd.
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