保水シート耕方式の養液栽培における根域の気相/液相部比率がトマトの生育・収量に及ぼす影響

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根系の一部を湿気中に露出させる保水シート耕において, 根域の気相/液相部比率を5段階(気相部比率0%, 25%, 50%, 75%, 100%)に変えて湿気中根と水中根の割合を変化させ, トマト根の活性や生育・収量に及ぼす影響を調べた.水中根の存在する培養液中の溶存酸素濃度は1.9∿3.0ppmの範囲であった.気相部比率25%以上の処理区で地上部の乾物重が大きく, 気相部比率が大きいほど地下部の乾物重が増大した.葉面積は, 気相部比率75%までは気相部比率の増大に伴って大きくなり, 100%区では25%区と同等に小さかった.果実収量は気相部比率50%以上の区で大きかった.糖度, 乾物率は気相部比率の小さい区でやや高く, 50%以上の区では低かった.果実肥大期の葉の光合成速度は0%区で有意に低かった.根系全体の呼吸量は75%区で最も大きく, 0%区で最も低かった.これらの結果から, 1) 水中根のみの根系をもつ植物体は, 酸素欠乏により根の活性低下と伸長阻害が生じ, 光合成や生長が抑制されること, 2) 湿気中根のみの根系をもつ場合は, 果実収量・品質に有意な影響はないものの, 水ストレスにより根の呼吸活性が低下し, 無機成分の吸収が低下し, 葉面積が減少すること, 3) 湿気中根と水中根が併存する根系をもつ場合は, 根の呼吸活性が高く維持され, 水ストレスも軽減されるため, 根の養水分吸収や光合成機能が高く維持され, 果実収量の増加につながることが明らかとなった.従って, トマトの安定生育と培養液管理の簡略化のためには, 湿気中根と水中根の併存が有効であると考えられた.
2001-09-15

保水シート耕方式の養液栽培における根域の気相/液相部比率がトマトの生育・収量に及ぼす影響

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