蕎麦の育種学的研究 : 第I報 花の着生と開花習性
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概要
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1.麦の花は初め主茎の下部葉腋に着生して順次先端に及ぶが,着花部と他部とに於て2・3の形質を比較すると着花部は葉が細長くなり,節間も短くなるがその傾向は秋播は急であるのに対し夏播は緩慢である。花房は分枝上に二次的に形成されるが高次分枝との区別が必要である。従来花房と称して居るものを十数個の小花房に分けて取扱った。2.開花順序は花房が一つの独立した単位として認められる。又株内の秩序は花の着生位置によって規制されて居る。次に逐日花と名づけて同一日に咲く花の様子と頻度を調べる事により細かい開花の性質が分る。3.一日中の開花時刻は午前6時近くから始まり午前8時迄に80%以上が完了する。午後や夜間の開花は無いが,低温では遅延する。4.開花速度は夏蕎麦が速く秋蕎麦は遅い。叉5月に掻くと遅延し9月に掻くと速くなる。速度は形態的にも花房の伸長程度により比較が出来る。5.初花数は開花速度と一致し開花の遅い5月播は少なく,速い9月播は多い。叉開花の速い夏蕎麦は多いが遅い秋蕎麦は常に少ない。6.到花日数は4月播と9月播では相関は高いが品種の差は小さいので類別し難い。然るに6月播に於ては開花が遅延し且つ品種の差が拡大される。冬は生育が不良となり開花が遅延するも品種の差は無くなる。7.初花節位は開花の遅延した6月播に於て高くだり花芽分化が乱された事が分る。冬期の節位は低く且つ斉一で花芽分化も早く斉一であった事を示せるが,分化後の生育が遅延した為めに冬の開花は遅延する。品種では常に秋蕎麦の節位が高い。
- 日本育種学会の論文
- 1959-03-20
著者
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