イネの穂いもち圃場抵抗性の遺伝分析
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概要
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穂いもち圃場抵抗性の遺伝様式を解明するため,2組の二面交雑セットのF_2およびはつかおり/越南102号のF_3・F_4系統の検定と結果の解析を行った。まず4品種・系統間の二面交雑F_2集団の穂いもち発病程度を調べたところ,集団平均値は両親のほぼ中間で,正逆交雑の間に差はみられなかった。つぎに7品種。系統間の正逆交雑を含まない二面交雑のF_2ダイアレル分析の結果,穂いもち圃場抵抗性に関与する遺侯子の相加効果が大きく,優性効果は重要でなく,エピスタシスは認められなかった。そして広義および狭義の遺伝率の推定値はそれぞれ0,752,O.666と比較的高かった。さらに穂いもち抵抗性に強いはつかおりと,弱い越南102号の交雑から得られたF_3系統は,穂いもち発病程度に関し,両親の中間を頂点とする正規分布型の分離を示した。そしてF_3-F_4親子相関はγ=O.675**,広義の遺伝率の推定値はO.628〜0,797といずれも比較的高く,F_4における分離系統群の割合から推定した有効因子数は2〜4であった。またこれらと同時に供試した22品種・系統の分散分析から推定した狭義の遺伝率は0,921〜0,944ときわめて高かった。以上の結果から,穂いもち圃場低抗性は相加効果を主とするポリジーンまたは複数遺伝子,あるいはその両者により支配されており,細胞質の効果はなく,遺伝率は高いと推定された。
- 日本育種学会の論文
- 1983-03-01
著者
-
堀末 登
東北農試
-
斎藤 滋
東北農業試験場:(現)北海道農業試験場
-
東 正昭
東北農業試験場
-
渡辺 進二
東北農業試験場
-
堀末 登
東北農業試験場栽培第1部
-
渡辺 進二
東北農業試験場栽培第1部:(現)九州農業試験場
-
東 正昭
熱研
-
堀末 登
青森県農試
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