植物における放射線感受性 : III.倍数性イネ属植物の該当りDNA含量と放射線感受性について
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概要
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高等植物の倍数体と放射線感受性との関係について多くの報告があるが、その結果は不定である。SPARROWら(1956)は両者の関係を間期染色体容積(ICV)によって説明を試みている。本研究では、同質および異質倍数体のDNA含量と放射線感受性との検討を試みた。すなわち、栽培イネの同質倍数体シリーズでは、n、2n、3n、4nと倍数化にともない、核当りDNA含量の倍化がみられるのに対し、染色体当りDNA含量については有意の差は認められない。一方、放射線感受性は倍化と負の関係を示した。このことは、同質倍数体イネの放射線感受性は核当りDNA含量、DNA障害の修復のほかに、倍化による遺伝的重複がかなり重要な役割をもつことを示唆している。異質倍数体の場合、4倍種(BBCC、CCDD)の感受性は、2倍種(とくにAA)に比較してかなり高く、BBCCとCCDDの間では大体同じである。一方、核当りDNA含量は、CCDD、BBCC、AAの順に減少するが、BBCCのDNA含量は構成2倍種のDNAの和よりもかなり減少している。また、BBCCの染色体当りDNA含量はCCDDおよびAA(BB、CC)にくらべて少ない。これらのことから、異質倍数体イネの放射線感受性は核当りDNA含量とDNA障害の修復現象との相互作用によると考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1972-06-30
著者
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