ボッ海・黄海・東シナ海における海洋運搬熱の季節変化
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概要
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ボッ海・黄海・東シナ海を面積の等しい3つの海域にわけて,北から順にそれぞれA,B,C海域と名付けた.これら3海域について,海洋が大気から正味獲得する熱量G,貯熱量S,海洋熱発散量F_<DIV>,海洋運搬熱F_Tなどの季節変化を求めた.前報(石井・近藤,1993)でも指摘したようにGは,これら3海域とも暖候期には正,寒候期には負となる.そして年平均値はどの海域も負となり,海洋は大気へ熱を放出している.海洋が大気へ失う熱量(-G)は南へいくほど大きく,単位面積当たりの年平均値はA,B,C海域の順で,それぞれ11.1,70.8,90.7Wm^<-2>である.また,海洋熱発散量F_<DIV>は,どの海域も流入する熱量が流出する熱量より大きいのでF_<DIV>の年平均値はどの海域も負値を示し,負値の絶対値は特に黒潮主流の流れるC海域で一番大きく,一番北のA海域では小さい.更に本報ではF_<DIV>の季節変化の状況を月毎の評価に基づいてみると,B,C海域では,年の前半1〜6月に熱の正味の流入量が大きく(F_<DIV>が負で絶対値が大),水温上昇の熱量の大部分を占めるが,後半7〜12月は正味の流入量が小さい(F_<DIV>は負だが,その絶対値は小さい).しかし,一番北のA海域は,B,C海域と異なり,4〜10月の暖候期に値は小さいがF_<DIV>は正となり,他の季節は負の値を示す.また,海洋熱発散量と水平方向の水温差をもとに,海洋の水平熱拡散係数を求めてみると,4〜9月には水平熱拡散係数が負の値となることが分かった.従ってこの時期,逆勾配熱輸送が起きていることが示唆される.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-12-31
著者
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