ツバキ属栽培種における細胞学的研究 : I、二倍体種とそれらの雑種
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概要
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この研究は米国農務省W.L.ACKERMANとノースカロライナ大学C・R・PARKSの研究シリーズの一部としておこなわれている。米国ツバキ協会に記録され,栽培されているツバキ属中,二倍体種(2n=30)11種と,それらの種間および品種間雑種中花粉母細胞が得られた15組合せ52個体を供試し,減数分裂における染色体を調査した。他の雑種組合せは幼苗であるか,または弁化が進んで雄ずいのみられないもので,今回供試できなかった。二倍体種11種において,減数分裂第一中期で検鏡したすべての花粉概細胞に15個の二価染色体がみられた。それぞれの二価染色体で,キアズマはほとんど常に2個ずつみられた。減数分裂は全体に安定していた。52雑種においてもまたすべての個体で15個の二価染色体が減数分裂第一中期で観察された。減数分裂は全体に安定していた。雑種とそれらの両親となった栽培種の減数分裂第一中期で比較できうる点は,雑種においてキアズマの頻度がほんの少々落ちる程度である。ACKERMAN(1969.1971.1973)とPARKS(未発表)により,同じ材料を使った交雑能力テストでは,SEALY(1958)に従ったツバキ属分類学上の各節内種間の方がより交雑が可能であり,さらにその中でも同数の染色体をもったものとの組合せがより高い交雑能力をもっている。しかし今回の減数分裂第一中期の染色体観察からは上記の結果を裏付ける傾向はまったくみられない。ACKERMAN(1969.1971)のおこなった花粉稔性テストにも何ら相関関係を示さない。減数分裂第一中期染色体の対合状態に限っていえば,節内節外に関係なく互いにそれぞれの二倍体種は近縁であるといえよう。
- 日本育種学会の論文
- 1977-03-01
著者
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