イネ種子の発芽過程におけるカフェインによるガンマ線およびアルキル化剤障害の増大
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概要
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突然変異は遺伝物質であるDNA分子の傷害から生じ,細胞はDNA傷害を修復する機構をもっているので,DNA修復は突然変異育種において重要な役割を演ずるにちがいない。この研究は,イネ種子のガンマ線照射やアルキル化剤処理後どの発芽時期にカフェインを与えたときに障害が増強されるかを知るために行われた。カフェインは修復阻害剤として知られているので,このような研究によって放射線障害とアルキル化剤障害に働く修復系の差異が明らかとなろう。イネの2系統「圧系G31」と「F3-1062」の種子を25℃で4時間浸漬したのちに,20kRのガンマ線,0.5%のエチルメタンスルホン酸(EMS),0.05%のニトロソメチル尿素(NMU)で処理した。それぞれの処理終了後0,24,48時間目から5mMのカフェイン処理を24時間おこない,10〜14目目の幼苗長,第1葉畏を測定した。カフェインによるガンマ線障害の増大は照射直後のカフェイン処理,カフェインによるアルキル化剤障害の増大はEMS処理後24時間目のカフェイン処理,NMU処理後48時間目のカフェイン処理で観察された。これらの結果はガンマ線障害の場合には発芽初期の修復,アルキル化剤障害の場合には発芽後期の修復(おそらくDNA複製後修復)が重要であることを示唆している。
- 1977-03-01
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