振盪培養法によるオオムギの細胞培養

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高等植物においては、まず寒天培地でフラスコ培養しある程度の大きさになったカルスを液体培地に移し、振盪培養や回転培養によって遊離単細胞をえるのが一般に行なわれている方法であるが、従来の方法と異なり静置培養を経ないで遊離単細胞をうることを試みた。24時間吸水させたオオムギ(品種「愛媛〓1号」)の種子から胚を切り離して、液体培地で振盪培養するとカルスが形成され多くの単細胞が浮遊した。光電光度計(波長540mμ)で測る比濁度は培養日数とともに増加し、遊離細胞数の増加をほぼ適確に反映していることがわかった。Murashige & Skoog培地はAlmestrand培地よりも比濁度の増加が早く生じた。胚に胚盤をつけたときとつけないときとで細胞増加に差異がなかった。6〜7日間培養したのち、細胞浮遊液のみを新しい培地に移して振盪培養した。しかし、細胞が管壁に付着して比濁度の測定が困難であったので、培養管壁にシリコソグリースを塗ることを試みた。この結果、細胞は管壁に付着せず比濁度も増加した。遊離単細胞の増殖に、2,4-Dおよびkinetinを加えたMurashige & Skoog, Turecke, Hellerの培地はいずれも有効であり比濁度の増加がみられたが、2,4-Dとkinetinを加えたTurecke培地がもっとも適当であると思われた。
日本育種学会の論文
1970-06-30

振盪培養法によるオオムギの細胞培養

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