エアロゾルと雲の放射がアジアモンスーンに及ぼす影響とその長期予報における意義
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概要
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エアロゾルと雲の放射がアジアモンスーンに及ぼす影響を気象庁全球モデルを用いて調べた。エアロゾルによる直接及び間接の放射効果をパラメータ化した。また、陸上での雲量が標準モデルより増加するようにパラメタリゼーションを変更した。これは陸上では地表面の非均一性などが雲の形成を容易にし雲粒サイズが小さいため雲の滞留時間を長くしていると考えたためである。アジアモンスーンの予報はエアロゾル及び陸上での雲の増加のパラメータ化に大変敏感であった。標準モデルは陸上で太陽放射吸収量を過大評価する。雲の診断パラメータを海陸で区別しエアロゾルを考慮することにより、標準モデルに現われた太陽放射吸収量の海陸コントラストに関する系統的な誤差を減少させることができる。ユーラシア大陸では太陽放射が減少し大気陸面相互作用を通じて下層気温が低下する。その結果、東南アジアのモンスーン循環を弱め、東アジアの典型的な前線帯、メイユ、チャンマ、梅雨などの北上を遅らせる。陸上における雲の増加の影響とエアロゾルの影響はよく似ている。太陽放射吸収量の系統的誤差の減少は両パラメタリゼーションの妥当性を示唆しているが、その相対的な大きさはまだ評価できない。エアロゾルの分布や光学特性および雲の形成について、エアロゾルと雲の相互作用も含めて、とくに海陸の相違に配慮した研究を進める必要がある。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1998-12-25
著者
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