海岸部と内陸部における降雪粒子の雲粒捕捉成長に関する比較
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概要
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北西季節風時の日本海側における降雪機構研究の一環として、降雪粒子成長に占める雲粒捕捉過程の貢献度を海岸部と内陸部において調べた。海岸部における降雪のうちで雲粒捕捉成長過程が卓越している降雪(全質量に対して付着雲粒量が50%以上を占めるような降雪)は約70%であり、内陸部では約40%であった。すなわち海岸部では降雪粒子の成長において、雲粒捕捉過程が重要な役割をはたしているが、内陸部ではそれほど重要な役割をはたしていないことになる。次に、降雪粒子の成長における雲粒捕捉過程の貢献度が気象条件とどんな関係があるかをレーダー解析で調べた。降雪雲内の最大上昇流が強いほど、ドップラー速度のスペクトル幅が大きいほど、降雪雲の発達段階が消滅期よりも発達期と最盛期であるような気象条件では、雲粒捕捉成長過程の貢献度が増加した。上記の気象条件の海岸部と内陸部における相違としては、海岸部においては内陸部においてより、降雪雲内の最大上昇流が強く、ドップラー速度のスペクトル幅が大きく、降雪雲の発達段階が発達期と最盛期にある頻度が多かった。これから海岸部では降雪粒子の成長において雲粒捕捉過程が重要な役割をはたしているが、内陸部ではそれほど重要な役割を演じていなかった観測事実を、気象条件の観点から説明できる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-02-25
著者
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