OMLET期間中の南方定点T付近における海面熱収支の研究
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概要
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1988年から1991年にかけて、本州南方海域の定点T(29°N,135°E)付近で行われた海洋混合層の観測(OMLET)の期間に研究船、白鳳丸において大気海洋間フラックスの渦相関法による直接測定を行った。第1回目は1988年4月から5月にかけてで、これは海洋が熱を吸収して海洋混合層が減衰する時期にあたり、第2回目は1991年の1月から2月にかけて逆に海洋混合層が発達する時期に行ったものである。渦相関法は精度は高いが、種々の制約のために頻繁に行うことが困難である。そのため、長期にわたるフラックスの評価のためにはバルク法を併用して、渦相関法による結果に合うようにバルク係数の値を決めることが望ましい。これまでのこの海域での熱収支解析はすべてバルク法のみによって海面フラックスを評価したものであったが、本研究では渦相関法を基準にして得られたバルク輸送係数を用いて長期間の海面フラックスを算定した。船上で同時に測定した放射量の測定と併せて、海面熱収支を求めると、4〜5月には54Wm^<-2>、1〜2月には-192Wm^<-2>の熱量(Q)が海面に供給されることがわかった。本研究では顕熱フラックスの算定に当たってBrookの補正を考慮したので、潜熱フラックスの10%(それぞれ7Wm^<-2>、16Wm^<-2>)が顕熱フラックスに付加されたことになる。一方、T点での気象庁ブイの水温観測によれば、この期間の海洋混合層の熱容量の時間変化はそれぞれ356Wm^<-2>、-297Wm^<-2>で、上に述べた海面への熱フラックス(Q)の値との差が水平または鉛直方向の移流によって運ばれることになる。これらの結果についてこれまでの研究と対比して検討した。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-02-25
著者
-
塚本 修
岡山大学大学院自然科学研究科
-
塚本 修
岡山大学理学部
-
石田 廣史
神戸商船大学商船学部
-
光田 寧
京大名誉教授
-
光田 寧
京大防災研
-
光田 寧
京都大学防災研究所
-
石田 廣史
神戸大学
-
光田 寧
Kansai Regional Head Office Japan Weather Association
-
石田 廣史
神戸商船大学
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