Cefpirome sulfateのラット腹腔内投与による6カ月間慢性毒性試験および2カ月間回復試験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CPRの51.2, 128, 320および800mg/kg/dayをラットに6カ月間腹腔内投与し, その慢性毒性を検討するとともに, 2カ月間の休薬による回復性を検討した. 1. 一般状態にCPR投与による変化は認められなかった. 2. 体重の増加抑制が800 mg/kg/day群の雌雄で認められたが, 摂餌量に明らかな影響はみられなかった. 飲水量は雌雄とも320 mg/kg/day以上の投与群で増加を示した. 3. 尿検査では, 尿量の増加が800 mg/kg/day群の雄でみられた以外, 尿性状に異常はみられなかった. 4. 血液学的検査において, 赤血球数, ヘモグロビン量およびヘマトクリット値の減少を示す個体が800 mg/kg/day群の雌雄で多くみられ, 網状赤血球数の増加も800 mg/kg/day 群の雌雄で観察された. 5. 血液生化学的検査において, 320 mg/kg/day以上の投与群の雌雄で総コレステロール量の減少が軽微ないし軽度に認められた. 800 mg/kg/day群の雌雄で尿酸量および無機リン量の増加を示す個体が認められた. 6. 臓器重量において, 320 mg/kg/day以上の投与群の雌雄で脾臓重量の増加, 320 mg/kg/day以上の投与群の雄および800 mg/kg/day群の雌で腎臓の重量増加, 320mg/kg/day以上の投与群の雌で甲状腺の重量増加, 800 mg/kg/day群の雌で胸腺の重量減少が軽微ないし軽度にみられた. 7. 病理学的検査では, 肉眼的観察で軽微から軽度に暗赤褐色を帯びた甲状腺が320 mg/kg/day以上の投与群の雄および800 mg/kg/day群の雌でみられた. 病理組織学的変化は甲状腺, 腎臓, 肝臓, 脾臓および骨髄でいずれも軽微から軽度に認められた. すなわち, 甲状腺では濾胞上皮細胞の肥大が128 mg/kg/day以上の投与群の雄および320mg/kg/day以上の投与群の雌で, 濾胞上皮細胞内の黄褐色色素沈着およびコロイド物質の増加が320 mg/kg/day以上の投与群の雌雄でみられた. 腎臓では320 mg/kg/day以上の投与群の雄で尿細管上皮細胞内の硝子滴沈着, 800 mg/kg/day群の雌雄で黄褐色色素の沈着の増強がみられ, 電子顕微鏡観察により320 mg/kg/day以上の投与群でライソゾームの増加が認められた. 肝臓および脾臓において髄外造血および骨髄において赤芽球系細胞の増加が, いずれも800 mg/kg/day群の雌雄の少数例にみられた. 8. 回復試験で, 上記諸変化は軽減ないし消失した. 9. 最大無影響量は51.2 mg/kg/dayと推定される.
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1990-11-30
著者
-
熊谷 泰憲
日本ルセル株式会社 研究開発本部
-
大谷 武彦
中外製薬株式会社 研究開発本部
-
出来 俊昭
中外製薬株式会社 研究開発本部
-
肥後 伸一郎
中外製薬株式会社 研究開発本部
-
坂牧 義之
中外製薬株式会社 研究開発本部
-
内山 智晴
中外製薬株式会社 研究開発本部
-
国場 節子
日本ルセル株式会社 研究開発本部
関連論文
- Cefpirome sulfateのラットにおける周産期及び授乳期投与試験
- Cefpirome sulfateのラットにおける器官形成期投与試験
- Cefpirome sulfateのラットにおける妊娠前および妊娠初期投与試験
- 21 BHCによる病理変化像についての観察 : ラットにおける検討 (第一回毒性研究会記事)
- Trandolapril (RU44570)のラットにおける周産期および授乳期投与試験
- Trandolapril (RU44570)のラットにおける器官形成期投与試験
- Trandolapril (RU44570)のラットにおける妊娠前および妊娠初期投与試験
- Trandolapril (RU44570)のラットを用いた12か月の経口反復投与毒性試験および3か月間の回復試験
- Cefpirome sulfateのウサギにおける腎毒性試験 : 単回および反復静脈内投与試験
- Cefpirome sulfateのラット腹腔内投与による6カ月間慢性毒性試験および2カ月間回復試験
- 実験用ビ-グル犬の成長に伴う血液学的ならびに血清生化学的性状の変化